天使と悪魔の子
あれは、そうだな
もう10年…それくらい前の話
俺の森を通りかかったヤツらから聞いた噂話だ。
「魔王様、どうかしてんじゃねえか?最近のお披露目で、天使との間にできた王子を急に公に晒したんだ。」
「天使との間に……?天使って、あの?」
「あぁ、まぁ天使の方はもうこの世には居ないみたいだがな…。今までずっとラミア様を次の器にするつもりだと思っていたが…急な血縁者ご登場で、幹部達も忙しくしているらしい。」
正直、魔王の隠し子なんざ探しゃーいくらでも出てくるだろうけどよ……
ゴブリンのような見た目の中位くらいのザヘルは、やれやれと言ったように肩を竦めてみせた。
どうやら、天使と魔王の間に出来た子供がいるらしい。
へぇ……
面白い
「その話、詳しく聞かせてよ。」
「ひっ!」
「あ、貴方様は……森の主のリーフ様?」
怯えた二匹に近づいて怖がらせないように笑顔で話しかけた。
まぁ、更に震えていたけど、どうでもいい。
「で、その王子について何かないの?」
「あ、はい…
その王子は、最初は周りの王族や貴族達によく思われていなかったそうなんですが…
最近、そんな噂が嘘のように、王子を支持する声が上がっているんです。
本当かは定かではありませんが、その王子が、第二王子を殺害したとか……。」
「へぇ…第二王子を、ね」
第一皇子がラミア
第一皇女がミリーナ
第二皇子が×××××
第三皇子がレリアス
そして、新たに第二皇子を殺害し、その地位に入れ替わる者……
「確か名前は…そう、アルベール様です。」
アルベールか、興味深い。
ここのところ退屈だったからちょうどいい。
俺は森も抜けて、そのまま王都へ向かった。