天使と悪魔の子
暫く子供の姿のまま退屈でしかたがない森の中を歩いた。
なにをしても楽しくない
長すぎる寿命のせいで、すべてのことに無関心になっていく。
そう思えばヴァレール、神はどんな心境で世界を見ているのだろうか。
かつての主のことを思い起こそうとしたが、やめた。
「リーフ様、ですよね?」
ふと、呼びかけられた。
まさか気付いていたなんてな。
俺の変装魔法は完璧だったはずなのに。
「どうされたんですか?」
アルベール様
俺は振り返ると同時に変装魔法を解いた。
やはりそこにはオッドアイの美しい少年が立っている。
「街で貴方様を見かけたものですから…なにか用があるのかと思いまして。」
へぇ……その時からねえ
「ただ少し興味があっただけ、けど、もうどうでもいい。」
俺は敬語をやめて、木の上に飛び乗った。
「クスッ…酷い言われ用だなぁ。」
少年は一瞬顔を緩ませて、俺を見る。
「本当はお願いがあってきたんです。」
「……願い?堕天使の俺に?」
「俺に…闘い方を教えてください。」
奴は跪いて頭を垂れた。
まぁ、大体は予想していたけどね。
「いいよ?でも、その代わりにお前は俺に何をくれるの?」
その言葉を待っていたかのように顔を上げる奴の瞳を、思わず覗き込んだ。