天使と悪魔の子
暫く私達はその幻想的な景色を見ていた。
『こうして見れば、人間界には全然生物がいないね……。』
人間が暮らしやすいように、いろんなものを犠牲にしてきたからか……
でももしもこんなに綺麗な生物がいたら、この生物達は売品扱いされてしまうのだろうか。
手元に擦り寄る可愛い手のひらサイズのうさぎのような生き物の頭を撫でると、
きゅるっと鳴いて嬉しそうに走り回った。
か、かわいい
何この生き物……
「そろそろ帰るぞ」
『あ、うん』
私は名残惜しくも手を振ってその場をあとにする。
こんなに長居しちゃうとは……
『私、今日の夜のこと、一生忘れない。』
彼の背中を見ると、どことなく嬉しそうな気がした。