天使と悪魔の子

それから数日

私は毎晩のように魘されていた。

『うっ……くっ』

「美影様!っ起きてください」

『っはぁ……シェリー…』

目覚めるとシェリーがいて、心配そうに私にタオルを差し出した。

「これで汗をおふき下さい…美影様、最近毎晩魘されているみたいですね。
わだくし、夜中に料理の研究をしているので声が聞こえてくるのです。」

今にも泣きだしそうな彼女を慰めるように笑いかけた。

『大丈夫…このことは誰にも言わないで』

最初の晩は、ストレスでたまたま悪い夢を見たんだと思った。

でもこれだけ毎晩続いていたら、どれほど心に負荷がかかっているか実感してしまう。

それを周りに知られたらきっと心配させてしまうわ。

『みんなの前では、強くありたいの。
私だけが苦しいわけじゃない。
前の戦いで最愛の人を失った人もいるかもしれないから……。』

それに期待には応えなきゃいけない。

「わかりました……でもわだくしにはいつでも相談してくださいね!」

『うん、ありがとう』

私は汗と共に零れ落ちる涙に気付かずに、毎晩の寝不足でまた眠りにつく。

そしてまた、同じ夢を見た。

< 203 / 262 >

この作品をシェア

pagetop