天使と悪魔の子

『ごめん、いろいろ迷惑かけた。』

すっかり泣き止んだ私を宙が抱き起こす。

「いいんだ、全然…」

二日間本当にたくさんのことがあった。

恐怖を思い出しそして喜びを知れた。

そして、

『ねぇ、教えてよ。今日の昼、空を飛んで私を助けたでしょ。』

その問いかけの後、長い、とてつもなく長い沈黙があった。

夜の学校にはもう誰もいなくて、
物音一つ起きない。

ふと

彼が笑った。

そして、膝から私を下ろすと立ち上がる。

「少し、目を閉じてて。」

言われた通りに瞼を伏せる。

何秒だっただろうか

彼が開けていいと言って目を開いた。

そしてその瞬間

この世のものとは思えない美しいものをみた。

月の光に反射して煌めく白い翼

その影に赤味のある黒い翼

空色と、何時か見た赤のオッドアイ

象牙色ではなく真っ白な肌

『綺麗…』

いつの間にか呟いていた言葉に宙は悲しそうにした。

「汚れてるんだ。」
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