天使と悪魔の子

思わず聞き間違いだと首を傾けた。

そして、気付いた。

あまりにも美しくて、そちらにばかり関心が行って気付かなかった。

大きな

大きな欠陥

『色違い…』

翼も、瞳の色も、

右が天使だとすれば

左は

「悪魔」

思ったことを先に言われた。

それに対してか、自嘲してか、

わからないが寂しげに笑った。

「正解だよ。」

『え?』

「この世にはね、君達の想像を超える奇怪な者がたくさんあふれてる。」

堪らず聞いてみた。

『じゃあ、宙は天使と悪魔のハーフ?
堕天使とかそういうやつなの?』

首を振る

「そんな、高貴なものじゃない。
俺は悪魔にも天使にもなりきれないんだ。
この世界にとって異物。
だから俺は天界にも魔界にも行けずに追い出された。
母さんと父さんは…それぞれ権力を持っていたから、俺が邪魔になってなかった存在として扱われてる。」

なかった存在…

その心の痛みが私には酷くわかった。

そして、何も言えなかった。

適当に言葉を当てはめて励まされるのは屈辱的だから。

その気持ちがわかっていたから。

「やっぱり、美影は面白いね。」

頬に触れた手はさっきの違ってあまりにも冷たかった。

「こわい?」

『怖くないって…言ったら嘘になる。
けど、宙は…私を、助けてくれたでしょ。』

その事実は変わりないから、

歪な

ずっと、ずっと忘れていた

笑顔を見せた。

上手く笑えないけれど、今の精一杯の私の気持ちだ。
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