天使と悪魔の子
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「ちょっとおおお、なんでこの家ティッシュないのよぅ」
泣きすぎて顔が真っ赤になっている日和。ごめんね、こんな非日常的な話をしてしまって……巻き込んでしまって。
「いやなんであんたそんなに抱え込んでんのよ!!!悲しくなりすぎて腹が立ってきたわ。」
「ちょ、日和落ち着いて…」
架が慰めるのも聞かずに日和は机を叩く。その衝撃で食器が軽く浮いた気がした。
「落ち着いてらんないわよ!!あんた良い奴すぎんの!巻き込んだとか思ってるんでしょうけど、巻き込まれて上等よ!待ってたんだから、あんたが胸の内をぶちまけるの。
もう紳士を演じなくていい、もっと我儘言ってみなさいよ!!何回このくだりさせりゃ気が済むんだよ…
こんのっ腹黒野郎が!!」
部屋に響き渡る日和の罵声と夕紀の笑い声。腹を抱えて笑っている彼を見るのは初めてだ。
俺もなんだか、一人で悩んでいたのが馬鹿だったみたいに肩が軽くなった。
「そうだね、もういいよ。俺が魔王の息子とか、結ばれたらとかもうどうでもいい。美影が好き それだけは変わらねぇからさ。
どうせ力で叶うわけねぇんだよ。
あのクソ親父にさっさと美影を返してもらおう。」
今までの計画も、壊れた。
もう別に手ぶらで行ったって何か持ってったって結果はわかんねえよ。
「はぁあ、面倒くさいよな。
人間も天使と悪魔も全部。」
鈴の音が聞こえたと思ったら白髪に月白色の瞳の神獣が美しい顔をこちらに向ける。
エル様 美影の使い魔だ
「神から呼び出されてること忘れないでよ?じゃあ今から君達全員転送するから。」
「え、何この美少年……」
日和の疑問に答えるものはいなくて、眩い光に飲み込まれる。
今から行くよ。
美影 アリシア
待ってて……。