天使と悪魔の子
ふと目を開けたら、そこは何度が来たことのある真っ白な空間だった。
ここにはエルに似た、あの美しい少年がいる。
『貴方は、宙が言っていた第三の世界…虚無の世界の支配者ね。』
“僕の言った通りになったろ?君は僕を無意識のうちに〝呼び〟真実を知ろうとしている。”
『今の状況を脱するには魔王を超える力を持ってして身体から追い出すことしか道はないからね。……凄く不本意だわ。
封印を解くのは、彼が良かった。』
“非情な奴だなぁ。
僕を創ったのは君なのに。”
『私が……あなたを?』
“そう、宙にアリシアが封印される瞬間に僕は生まれた。どうしても忘れたくなかったんだろうね、アリシアは。
僕は君の忘れた記憶そのものだ。”
私の……記憶
そっと白い少年は私の頬に手を当てて唇を合わせた。
どっと頭に流れるアリシアとしての記憶
全てを思い出した私は溢れてくる涙を止めることをせずに白い少年を抱き締める。
この世界は封印された私の力で出来たものなのだったんだね。
だからか君はいつも、悲しそうな瞳をしている。
会うのは三度目なのに、他人のようにはどうしても思えなかった。
『ごめんねアリシア…ごめんね。貴女は私なのに、離れ離れにしてごめんなさい。』
ぱりんとガラスが割れたような音がしたと思ったら、白い少年は幼い私の姿で微笑んだ。
“ずっと、待ってたよ。”
『おかえりなさい……』
白い世界に亀裂が入って眩い閃光に瞳を閉じる。
熱い
アリシアが私の中へ戻ってくる感覚。
『私は、美影でありアリシア。
もう逃げないよ
宙を一人で戦わせたりしない。』
意識が覚醒していくのを感じる。
そして聞こえた。
大好きな人達の声が。