天使と悪魔の子
2節 “想”
翌日、
東洞くんは席に座っている私に昨日のことは嘘のように笑顔を向けてきた。
「おはよう!」
『お、おはよう』
そして次にはまた悲しそうに眉を寄せた。
「昨日の傷、どう?来週から冬休みだし、クリスマスパーティーについて話そうと思ってたんだけど…。」
昨日までの私なら嫌な顔しただろうな…
『少し痣になった。でも行きたい。』
今まで関心はなかったし今でも怖い、でも他人と付き合うことは大切だと思い出せた。
もしかしたら
昔のように“親友”を見つけることができるかもしれない。
過去を取り戻せるかもしれない。
そう思うと心が少し軽くなる。
「よかったー!!」
東洞くんは安心したように笑う。
「あ、そうそう、同じクラスの木之本 日和(キノモト ヒヨリ)と他クラスの荒川 夕紀(アラカワ ユキ)も一緒だけどいいよな?」
「俺は問題ないよ。」
宙は楽しげに笑ってこちらに目配せした。
『え?あ、うん、もちろん…。』
そりゃパーティーだから誰か来るとは分かっていた。
けど長年人付き合いをろくにしてこなかった私にとってそれは難題だ。
「よしっ!んじゃあ来週の木曜日に駅前に集合な!プレゼント交換する為に日和がくじ用意したから引いてくれ。」
東洞くんは三枚の紙をチラつかせた。
「俺これにしよーっと、あ!誰のを引いたのかは内緒だからな!」
私も恐る恐る宙と顔を合わせて引いてみる。
ーカサッ
誰だろう…
“荒川 夕紀”
え、本当に顔もわからない。
『と、東洞くん』
「なにー?」
『あらかわゆきっておんなのこ?(コソッ』
そう聞くと東洞くんは吹き出した。
「ちげーよ!男、男!(コソッ」
あ、そうなんだ…。
「なんなら、今日の昼飯一緒に食う?
いつも日和と夕紀と食ってるし、
宙も昼飯食おうぜ!」
「いいの?じゃあ遠慮なく。」
大勢でお昼ご飯を食べるなんていつぶりだろう。
少し口角が上がったのを感じる。
ーガラガラ