天使と悪魔の子
5章 さよならは言わない


戦いは終わった。


あっという間のような、長かったような不思議な気分だ。


全員で神界に戻ると、ヴァレール神が私達を迎えた。


そして、日和と架は戦いの前にある約束をしていたことを告げる。


“戦いが終わったら、全てを忘れる”


私達が出会ったこと、それからこれまでの経緯すべてがなかったことになる。


しかも、私と宙や夕紀が人間界で生きていた証も全て消えると…。


でもそれを拒んだら架と日和は口止めという名の下に命を落とさねばならなかった。


それよりはマシだと笑って言っていた。


架はまた、こうも言っていた。


「大丈夫、もう一度出会っても、きっと俺達親友になれるって信じてるから。」


溢れそうになる涙を堪えて笑った。


約束しよう と…。


絶対の統率者が居なくなってしまった魔界はラミアが急遽代理の王として立て直しを計っている。


そして元通りの日常が始まった。



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