天使と悪魔の子
眩しい日差しが窓から注ぎ込む。
制服に着替えて扉を開けると賑やかなリビングから声が漏れている。
ーガチャ
『おはよう』
「あ、おはよう!」
「おはようございます!」
「なんでこんな早く起きなきゃならないのよぅ」
順に宙、マーシュ、エリーゼが返事をしてくれた。
マーシュとエリーゼは私達のお目付け役らしい。口煩いアスタロッサさんと暇なヴァレール神からの長期特別休暇といったところだ。
なんせ天界や魔界ではしばらく争いなんて起こらないだろうからね。
『あ、甘っ!?』
卵焼きを口に入れるとあまりの甘さに驚愕していた。
この甘党…絶対砂糖入れ過ぎただろう。
「ごめん美影、今日転校初日だから少しでも甘い物食べて元気になってもらいたくて…。」
宙はだんだん誤魔化すのが上手くなっているというか、手のひらでコロコロと転がすように私の機嫌を取っている。
『別に…美味しいからいいけどさ』
甘いけど
「ねぇ」
玄関を出る時にふたりっきり、宙に呼び止められて顔を上げた。
『んっ』
長くて甘美な口付けをされて膝を着きそうになったが宙に支えられる。
『ちょ、なにす「なんだか新婚夫婦みたいだね」』
そんなに幸せそうな顔をして言われたら何も言い返せないじゃないか。
『馬鹿、こんなに熱烈なの朝からしないでしょ。』
「んー、俺は結構こういうの好きだよ。」
やっぱり以前の彼とは少し違う。
なんというか、アルベールの意地悪っぽいところが入ったというか…
『恥ずかしいからもう行くよ!!』
熱い顔を隠して新しい家を出ていくと、夕紀が立っていた。
「顔赤」
『ば、やめてよもう!』
見慣れた制服を着て三人肩を並べた。
これから私達は、城西高校転入生としてあの学校へ行く。
日和と架との約束だもん。
昼休み 私達はふたりのもとへ向かった。
いつもの階段でお弁当を食べている。
『あの…』
「転入生の美影ちゃんに宙くんに夕紀くん!?どうしてこの三人容姿がこんなに眩しいの……。」
「なんかあったか?」
日和は相変わらず明るくて、私達を見るなり驚いていた。
架は私達が道にでも迷ってるのかと首を捻っている。
『よかったら一緒にお弁当食べてもいいかな?』
今日から私達は、また始まる。
end