天使と悪魔の子
「あ、その卵焼き超うまそう!」
架が食い付き気味に言うので恐る恐る差し出した。
「うっま!なにこれ、逢沢がつくったの?」
嬉しくて何度も頷くと宙が食べたそうに目配せしてくる。
『ふふっ』
思わず笑うと皆が静かになった。
『…?』
「美影ちゃんは笑ってる方がいいね。」
日和が嬉しそうに目を細めた。
『あ、えと、うん、ありがとう…。』
顔が熱くなって俯いた。
なんだろうこの気持ち、
凄く胸が暖かい。
「なにあんた可愛いー!!!」
下の段から勢いよく抱きついてきて驚いた。
か、可愛い
今までそんなことを言われたことがなかった。
不思議な気分で抱きついてくる日和を見つめる。
『あ、お、お弁当髪についちゃう。』
「うわー!ごめん!私の家可愛い双子の弟と妹がいるんだよねーなんか美影ちゃん見てると姉心が疼くんだよー。」
姉弟がいるんだ
私に兄弟がいたらどうだったろうな…。
「どうかした?」
暗い顔をしていたのだろうか、笑顔を繕った。
『ううん、あの…宙、さっきのお弁当の話なんだけど…』
「え…もしかして作ってくれるの?」
『私の作ったのでいいんだったらだけど…』
「凄く嬉しいよ。ありがとう。」
宙は綺麗な瞳を輝かせた。
やっぱり、私はこの瞳が苦手だ。
「ふふふー、架~私も作ってやろうか!」
日和がにやにやと架に問いかける。
「俺を殺す気かよ…」
「なによ!失礼ね!私だって料理くらい出来るわよ!」
「前…カレーに栄養薬入れてた。」
夕紀くんのその言葉にみんなが笑った。
楽しい…こんなに楽しい食事はいつぶりだろう。
溢れそうになる涙を堪えてご飯を口に詰めた。