天使と悪魔の子
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放課後
私はすっかり荷物がなくなった机の中身を確認してカバンを肩にかけた。
土日が過ぎて火曜日には学校が終業する。
そしていよいよ高校生にとって楽しみな冬休みが始まる。
けど、私は冬は嫌いだ。
冬には辛い思い出がたくさん詰まっている。
嫌に脈打つ心臓を抑えた。
落ち着け
落ち着け…
ーポンッ
ふと触れられ酷くびくついた。
「あ、ごめん。
お取り込み中だった?」
日和…
『ううん、何も。』
「急なんだけど、よかったら日曜日にプレゼント買いに行かない?
もっと美影ちゃんと仲良くなりたいな。」
眩しいくらいの笑顔を浮かべている日和に目を細めた。
『うん、一緒に行こう。』
「ほんと!?やった!
じゃあ日曜の2時に駅前広場の噴水の前で待ってるね!おっと、連絡先だね。
今から部活だから、RIME(通信アプリ)のID書いておいたから登録しておいて!
ごめんね!じゃっ!」
手元にメモを残され、嵐のように去っていく日和を見送った。
しばらくぼーっとしていると、はっとして日和をRIMEに登録する。
「なにしてるの?」
大きな影が携帯の画面を暗くした。
『あ、宙』
目が合って慌ててそらす。
『日和をRIMEに登録してたの。』
「ふーん、じゃあ俺のも追加してよ。」
『え…』
もたついていると宙がちゃっちゃと登録を済ませて満足気に笑っていた。
「美影の連絡先、ゲット」
なんでそんなに楽しそうにしているのかわからない。
いつの間にか二人だけになっていた教室を出ようとすると宙が呼び止めた。
「一緒に帰ろう?」
『私、バイトあるから。』
「じゃあ途中まで一緒に行く。
冬は日が暮れるの早いから。」
宙って、心配性だな。
会って数日の私になんでここまで優しいんだろう。
『…来たいなら、来れば。』
ぶっきらぼうに背を向けて答えると宙は嬉しそうに私の隣を歩いた。