天使と悪魔の子

昇降口を出てマフラーに顔を埋める。

「寒い?」

『うん…宙は寒くないの?』

「全然、俺達の身体は頑丈だから。」

『そっか…』

考えてみればそうだな。

ーガッ

ぼーっとして歩いていると溝に躓く。

「危なっかしいね…」

宙は軽々と私を受け止めた。

『あ、ありがとう』

宙は距離が近い。

わざとなのか天然なのか心臓がばくばくと脈打つ。

『宙ってご飯とか食べなくても生きていけたの?』

お弁当の件は迷惑だったのかと少し不安になる。

後々思えば彼は人外だ。

「栄養さえ一日に一回取れれば充分なんだ。悪魔は血とか、天使は神水とか。
俺はどちらでもいける体質なんだけど…。
人間の食べ物は好んで食べるものなんだ。
でも、俺は美影がお弁当作ってくれるって言ってくれて嬉しかった。」

血とか神水か…どちらも飲み物だよね。

宙も、飲むのかな。

そんなことは怖くて聞けなかった。

「バイト先こっち?」

『うん、その先の…』

私が場所を説明しようとすると曲がり角で光希先輩に出会った。

「あ!逢沢ちゃんっ……その人は?」

『光希先輩…』

もう少し二人で居たかったと思うのは、どんな気持ちのことを言うのかな。
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