天使と悪魔の子
___________________
___________
_______

日曜日

約束通り駅前の噴水の前に佇む。

吐いた息が白い蒸気になって空に消える。

そんな虚しさに安心してマフラーに顔を埋めた。

「逢沢ちゃん!!」

『ぁ…』

「金曜日ぶり!寒いのに待たせちゃったね。ごめん!!この先にショッピングモールあるからそこに行こう!」

『うん』

気の利いたことは言えない、けど凄く胸が踊る。

眩しすぎる都会の街並みに踏み出す勇気がなかった。

走っていく日和の背を見つめる。

「逢沢ちゃん?」

振り返る彼女に目を細めた。

『美影』

「ん?」

『美影って、呼んで…欲しい。』

ぎゅっと目を瞑って下を向いた。

何言ってるんだろ…恥ずかしい。

「みーかげ!」

ハッとして顔を上げる。

「何突っ立ってるの?行くよー!」

今は冬のはずなのに、日和の笑顔はまるで真夏の太陽のようで…

『うん』

氷のように冷えきった心がほかほかと暖かい。

私の心にももうすぐ、春が来るのかな。

< 39 / 262 >

この作品をシェア

pagetop