天使と悪魔の子
「あーこれ可愛いー!」
日和が高校生らしいキーホルダーを持って目を輝かせた。
『か、かわい…い?』
「ぷっ、美影ってよくわからない子だと思ってたけど案外わかりやすいんだね。」
日和は面白そうにキーホルダーを戻した。
「じゃあ別行動でこのお店でいい感じの探してなかったらほかの店いこうか。別行動じゃなきゃ誰にあげるかバレちゃうもん!」
『私、あっち見てくるね。』
「うん!じゃあ私はここら辺で彷徨ってるよー。」
頷いて辺りを見回す。
荒川夕紀
一昨日の件もあってか少し苦手に感じる。
結局あの人は何が好きなんだろう…。
宙は寒さを感じないと言っていたから防寒具はあまり嬉しくないのかな。
しばらく考えてみたものの全くいい代物が思い浮かばない。
『あ、これ…』
水色のお弁当箱に手を伸ばす。
宙の目の色にそっくりだ。
これにおかずとかを入れようかな?
“あいつにこれ以上関わるな。”
昨日言われたことを思い出して楽しい気持ちがふっと冷めた。
なんでこんな時に思い出すんだろう。
そっと商品棚にお弁当箱を戻すと一息ついた。
『ふぅ…』
「あーいざわっ!」
『っ!?』
驚いて一メートルほど後ろに下がる。
顔を上げると架、夕紀くん、そして宙がいて気まずく目を逸らした。
「あ、ごめん、邪魔するつもりはなかったんだ!」
『ううん、いいの…気にしないで。』
最近自分でも驚くほど敏感になっている。
やはりこれはあの一件のせいなのだろう。
「もしかしてクリスマスパーティーのやつ買いに来たのか?」
『うん、架達も?』
「そっ!!もしかして日和も来てるのか?」
『日和はあっちにいるよ。
今はプレゼントを渡す相手秘密だから別行動中。』
そういうと架は嬉しそうにはにかんだ。
もしかして、架は…
「何か見つかった?」
宙が楽しそうな笑顔を浮かべて話しかけてくる。
私はどんな反応をすればいいのかわからなくてつい視線を逸らした。
『何も…』
「ふーん…あっこれ夕紀が好きそうだな。」
「あ?……まぁいいんじゃねぇの。」
宙が一つのネックレスを手に取った。
あぁいうのがいいのかな?
あれ?
宙、もしかして気を遣ってくれた?
顔を伺うと何事も無かったかのように夕紀と楽しそうに話している。
「あの二人さー初対面だと思ってたんだけど知り合いだったみたいだな。」
そわそわとした様子の架に思わず頬が緩んだ。
『大丈夫だよ。架なら三人でも上手くやってける。』
そう言うと、一瞬驚いた表情を見せたがすぐに笑顔を見せてくれる。
「ありがとな!」
私は堪らず頷いた。