天使と悪魔の子
何故、こんなことが起きてしまったのだろうか。
猫っ毛の白髪に月白色の目を持つ美少年にソファーに押し倒されている。
『あ、あの、どなたですか。』
「Notre seigneur」
我が、主?
はっと部屋を横目で確認した。
エルがいない
『貴方、エルなの…?』
「そうだよ」
美しい弧を描いた唇はだんだんと近づき額に付けられた。
嫌な感じが全くしない
それよりも何処か、安心感があった。
「久しぶり、美影。」
『何処かで会った…?』
そう聞くと、寂しそうに眉を寄せた。
その顔は何を思っているのか。
私はまた、誰かを傷つけた?
「仕方ないよ。
それより、その格好って誘ってる?」
『っ』
エルはただの猫だと思っていたから油断していた。
バスタオルだけが今の私の防具だ。
『ち、ちが…』
「クスッ…うん、美影はそんな子じゃないもん。」
悪戯に笑う彼
その屈託のない笑顔に心が少し温まった。