天使と悪魔の子
『どうしてそんな姿に?』
ソファーにパジャマを着て座りなおし、
目の前でホットミルクを飲んでいるエルに質問する。
「人間に化けるとこうなるんだ…猫になったのは人間に馴染むためなんだけどね。
言わば僕は天界や魔界の生物の類なんだ。」
『じゃあ…宙や夕紀くんも気付いてたの?』
「ううん、僕は結構あちらの世界で言う高等な生き物なんだ。だから彼らにまやかしが使える。彼らからすれば僕はただの白猫だよ。」
エルは猫ではなく、天使とか悪魔とかそういう類の者。
でも、なんで人間界に彼がいるの?
そもそも、宙はまだしも夕紀くんはなんでこの学校に?
『エルは元々この世界の住人じゃないよね。何故こちらにやってきたの?』
「人間界には美影の使い魔として来たんだ。昔、美影が僕を召喚した時は驚いたよ。
この僕を召喚したのが物心ついてまもないくらいの女の子だったからね。」
『私が…エルを?』
そんな覚えは一切ない
一目見たら覚えている程の美しい容姿をしているし…
それに、私はただの人間だ。
召喚といわれても全くピンとこない。
「…まさか、自分が魔女だってことも忘れてる?」
『ぇ…』
忘れている…?
いきなりエルは真剣な表情で私の額に手を当ててきた。
『エル?』
「……“何者”かによって記憶が封印されてるみたいだね。」
『ねぇ、エル教えて、私は…』
ーガタッ
物音と同時に隣の部屋の怒声が聞こえた。
また、夫婦喧嘩をしている。
最近はあまりなかったのに、なぜ人は傷つけ合うの?
この世界の醜さを隣人は思い出させた。
心の中がひんやりとまた凍り出す。
感情が静かに凍りつく。
喉にまで出ていた問がさっと消えた。
『もう寝るね』
「…うん」
あぁ、そういえば夕飯食べてなかったな。
まぁいいや、どうせ誰も気にしない。
電気を消すと心の中で仄かに燃えていた火が驚く程すんなりと消えた。
ソファーにパジャマを着て座りなおし、
目の前でホットミルクを飲んでいるエルに質問する。
「人間に化けるとこうなるんだ…猫になったのは人間に馴染むためなんだけどね。
言わば僕は天界や魔界の生物の類なんだ。」
『じゃあ…宙や夕紀くんも気付いてたの?』
「ううん、僕は結構あちらの世界で言う高等な生き物なんだ。だから彼らにまやかしが使える。彼らからすれば僕はただの白猫だよ。」
エルは猫ではなく、天使とか悪魔とかそういう類の者。
でも、なんで人間界に彼がいるの?
そもそも、宙はまだしも夕紀くんはなんでこの学校に?
『エルは元々この世界の住人じゃないよね。何故こちらにやってきたの?』
「人間界には美影の使い魔として来たんだ。昔、美影が僕を召喚した時は驚いたよ。
この僕を召喚したのが物心ついてまもないくらいの女の子だったからね。」
『私が…エルを?』
そんな覚えは一切ない
一目見たら覚えている程の美しい容姿をしているし…
それに、私はただの人間だ。
召喚といわれても全くピンとこない。
「…まさか、自分が魔女だってことも忘れてる?」
『ぇ…』
忘れている…?
いきなりエルは真剣な表情で私の額に手を当ててきた。
『エル?』
「……“何者”かによって記憶が封印されてるみたいだね。」
『ねぇ、エル教えて、私は…』
ーガタッ
物音と同時に隣の部屋の怒声が聞こえた。
また、夫婦喧嘩をしている。
最近はあまりなかったのに、なぜ人は傷つけ合うの?
この世界の醜さを隣人は思い出させた。
心の中がひんやりとまた凍り出す。
感情が静かに凍りつく。
喉にまで出ていた問がさっと消えた。
『もう寝るね』
「…うん」
あぁ、そういえば夕飯食べてなかったな。
まぁいいや、どうせ誰も気にしない。
電気を消すと心の中で仄かに燃えていた火が驚く程すんなりと消えた。