天使と悪魔の子
急なストレスに襲われて勢いよく目覚めた。
彼は、誰?
エルに似ているようで少し違った。
真冬なのに酷い汗をかいている。
心做しか少し呼吸も荒い。
深呼吸を一つして辺りを見た。
すっかり暮れた空
誰もいない教室
いつものことか…
まだ熱が冷えきらないためマフラーは付けずにカバンを肩にかけた。
『っ!……いるなら話しかけてよ。』
気配も一切しなかった。
ただ彼はじっと黒板の方を見て動かない。
『…』
こんなことしていても埒が明かない。
後ろを通ろうと少し急ぎ足で行く。
「お弁当」
…あ
『……ごめん、これ作っておいたから。
でももう夕方だね。…よかったら夕飯にでも食べて。』
それだけ言ってお弁当を宙の後ろの席に置くと立ち去ろうと動いた。
「なんで今日、お昼一緒に来ようと思わなかったの?」
『……冷めた』
「え?」
『もういいでしょ。私帰るから。』
彼から逃げるように背を向けた。
これで、彼との関係も終わる。
世界はまた、モノクロに戻る。
「よくない」
彼の大きな手が腕を掴んで引き寄せた。
放っておいてほしいのに…
「ちゃんと目を見て言ってよ。
それは本心じゃない。」
本心じゃないなんてうそだ。
だって、私は…
『卑怯だから』
現実から逃げて逃げて
楽な道に流れて
それで充分だったのに…
宙が変えた。
生きたいと思わさせた。
けどそれは私には不要なんだ。
感情なんてただの足枷。
「逃げてるんだ。」
『そうだよ、どうせ傷付くなら最初からなにも関係を作らなければいい。
私はそうやって自分を守ってきたのっ。』
「それじゃ前と変わらない」
『変わらなくていい。
…誰かに裏切られる人生なんて、
消えちゃえばいいんだ。』
ふと小さく呟いた。
もし
私が魔女だったら。
人間を呪いたい。