天使と悪魔の子
2節 “畏”
それから数日
和やかな時を過ごしていた。
どうやら架はレストランでアルバイトを始めたらしい。
久しぶりに皆に会う、たった数日なんだけどね。
「美影なんか綺麗になった?」
「…架はすっごく落ち着いて見えるよ。」
なんと、架が黒髪に!
金メッシュとは打って変わってかなり清楚な男子風だ。
こっちの方が断然格好良いよ。
「本気で目指してみようと思ってさ、料理人。」
凄いなぁ
「寒すぎー…」
『あ!日和!久しぶりっ』
「こんばんはーって、美影、いや架もなんだけどどうしたの髪の毛。」
「『染めてみたの』」
「そっか、なんか変わったと思ったら髪の毛の色お互いに代わってたのか。」
でた、架の少し抜けてる発言。
「それにしても綺麗に染ってるなぁ……」
日和が私の髪に触れようとしたとき、後ろから話しかけられた。
あぶないあぶない……
「美影!」
『宙、元気だった?』
「美影こそ」
「久しぶり…」
『夕紀くん久しぶり。』
何故こんなに集まっているかというと、今日は大晦日だからです。
もうすぐお正月。
なんだかこうしているとなんの神様が正解なのかよくわからないな。
でも宙達が言うに、彼等と私は別世界の存在だからこことはまた違うらしい。
勿論母も別世界の人間とカウントされるため、神社には自由に出入りできる。
なんだか難しいなぁ
「じゃ、宙と美影はたこ焼き買ってきて!」
日和の言葉に頷いて歩き出すが思わず振り返る。
『たこ焼きなんかお正月にやってる?
…ってあれ?』
「やられちゃったね。」
宙はなんだか楽しそうに笑っている。
日和のやつ…
「甘酒だって、飲んだことある?」
『ない…』
「行こう」
宙に手を引かれて人を掻き分け進んでいく。
繋がれた大きな手を握り返した。