初めてのズル休み
でも、このまま引き返す気にはなれなかった。
もやもやとした気持ちが消えないままに、海へと向かう。
真っ青な空にところどころ浮かぶ白い雲のコントラストが鮮やかで、思わず目を奪われる。
太陽の光が眩しくて目を細めた。
もう少しで海岸線に出るというところでコンビニエンスストアに入り、お酒を買い込んだ。
いろんなもやもやを一刻も早く消してしまうには、アルコールの力を借りるしかない。
そんなやけっぱちな気持ちもあった。
まだ明るいうちからお酒なんて飲んだこともない。
少しまだ残る罪悪感から気を逸らすためかのように、あれもこれも籠に投げ込んだ。
手にずっしりと感じるビニール袋を下げて海岸沿いに続く遊歩道に出た。
目の前に広がる海は、いろんな景色を見せてくれる。
少し先にはビル群が、その後ろには大きな山が、そしてその反対側にはどこまでも続く地平線がある。
不意に立ち止まって、手すりに身体を預けたままただ眺めた。
時間も気にせず、ただ無心で。
髪をなびかせる風が心にもそよぐ。
いつまでもこうしていた気分になる。
心を埋め尽くしていた苦しさを、その風が少しずつ吹き飛ばしてくれるような気がした。