幸せになれるの?
「俺は、泊まれる日じゃ無いとお前を抱かなかった。
それには気づいてた?」
「うん。」
朝から会って、夕方の電車で帰る貴紀は、どんなに時間があっても私を抱かなかった。
「お前が、そういう行為自体があまり好きじゃないんだって知ってたし、それに…寝ぼけた時のお前が可愛いから。」
「寝ぼけた時? 何それ?」
「お前、眠った後必ず俺を探して腕を伸ばしてくる…俺が抱き寄せると幸せそうに口元に笑みが浮かぶ。
俺はお前と頬を擦り寄せて眠ることも腕枕をすることもいつもしてたんだ。
お前が眠った後に、だけどな。」
「うそ!?」
いつも私に背を向いて寝てしまっていた貴紀。
それは、私が眠りにつくのを待っていたの?
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