どうして君を好きになったんだろう
俺がそう言うと怜香が顔を赤くして、嬉しそうに頷いた。


「うん。私も後で送るね。」


電車が動き出した。


ゆっくり加速して、街がどんどん遠くなる。


怜香が微笑みながら窓の外を見ていた。


「嬉しいの?」


「・・・・・・・うん。だって、新しいスタートを切れるんだよ。・・・・・・自分の手で。」


やっぱり怜香はどこか変わってる。


いや、俺が変なのか?


「普通は悲しいとか、寂しいとか思うんじゃないの?」


「・・・・・まぁ、少しは寂しいかな。でも、また帰ってくるんだから。それに、みんなにもちゃんと挨拶したからね。大丈夫。」


「・・・・・・そっか。俺も頑張んなきゃな。」


「うん。・・・・・消防士だもんね。人の命を助けるって凄いよね。」



「あぁ。・・・・・・・不安の方が多いけど、やってみないと分かんないしな。」


「きっと・・・・・・・璻のお母さんもお父さんも喜んでるよ。」


「・・・・・・・そうだといいな。」



< 195 / 202 >

この作品をシェア

pagetop