どうして君を好きになったんだろう
「そりゃそうだろ。年収だって、公務員の方が上なのに。っていうかこの世の中、好きなことを仕事にしてる奴なんてほとんどいねぇよ。」


「・・・・・じゃあ、本当はなりたかったものがあったんですか?」


「あぁ。・・・・・・・俺は高校教師になりたかった。国語のな。でも、色々あってそれが無理だった。頭だって悪くなかったんだけどな。・・・・・・・色々って言うのは言えねぇけど、今の仕事が嫌ってことでもないんだよ。」


え?


「でも、なりたかったのは高校教師じゃないんですか?」


「まーな。でも、道が変わってもやっていくうちに楽しかったりするんだよ。」


「・・・・・・・やっていくうちに、楽しく。」



「お前が何でそんなこと聞いたのかは知らないけど、相談だったらいつでも聞くぞ。」


笑って言った。


「・・・・・はい。ありがとうございました。」


私は会議室から出て荷物を持って外に出た。


意外だった。


高校教師なんて。
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