どうして君を好きになったんだろう
「そっか。・・・・・・・璻?」


璻が突然立って写真立てを持ってきた。


「これは焼けたアパートから唯一出てきたもの。これしか残らなかった。・・・・・何度も謝りたいって思ったんだ。俺が早く帰れば良かった。反抗なんてしないで、一緒にご飯食べに行けばよかった。でも・・・・・・そんなの無理だ。だから俺はおれにできることをしようと思った。彩芽の所にはほぼ毎日行くようにした。でも、見た目は仕方ねぇよな。これがいいからさ。・・・・・・後悔しても遅いんだ。」


そこまで言って璻は頭を抱えた。


私は璻のことを抱きしめた。


「・・・・・・怜香?」


「大丈夫だよ。璻。・・・・・・・本当は泣きたいの我慢してたんじゃないの?私より、璻の方が何倍も苦しいはずだよ。・・・・私の事は気にしないで。・・・・・・泣いてよ。無理しないでよ。」


私がそう言うと璻は唇を噛み締めて泣いた。


声を押し殺して、ただ肩を震わせて。


こんな過去を持っていたなんて思わなかった。


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