トラブルシューターの花嫁
第一章 十六才の誕生日
いつもの日常?
ーパチッ
聞き慣れた煩い目覚ましの音で夢から現実へと戻された
「なんか変な夢…見た気がする」
夢って覚めると忘れるよね…なんて呟きながら花凛はベッドに寝転がっていた。黄色のカーテンから刺す日差しが眩しいと思いつつ、もうそろそろ起きないといけないと“あの二人”がやってくる。
そう思いベッドから起き上がり着替えようと高校指定の制服を手に取ろうとしたらドタバタと階段を上る音が聞こえてきた。
あぁ、やってきた。
「「花凛~朝だよ!起きて!!」」
花凛には一つ年上兄が二人いた。
しかも、一卵性の双子だ。
「もう起きてるよ。風にぃ、雷にぃ」
花凛は低血圧のため起きるのが苦手なため兄である風太と雷太が妹のために毎朝起こしに来てくれるのだ。
別に頼んだわけでもないが、妹を遅刻させるわけにはいかない!という兄として使命?かなんだかわからない理由で起こしに来ている。
これが、いつもの日常。
「「花凛?入ってもいい?」」
双子だからか、殆ど揃って発言する風太と雷太。そんな兄を花凛は嫌とは思っていなかった。
「着替え終わるまで待ってて」
普通、年頃の時期に兄を部屋に入れるだろうか?と疑問に思うかもしれないが花凛は気にしていなかった。
寧ろ何故毛嫌いするのだろうか?と反対に疑問に思うぐらいだ。
見られて困るようなものはキッチリ閉まっているから、風太と雷太は普通に花凛の部屋に入るし、花凛も普通に風太と雷太の部屋に入る。
そもそも見られて困るような物は置いてない(風太と雷太は不明)
これは世間で言う、ブラコンとシスコンであるが当の本人達は自覚無しである。
まぁ、それも仕方ない。
風太と雷太の部屋は知らないが花凛の部屋は“ある物”を除いては至ってシンプルであり派手なものは置かない。
白をベースとした部屋に暖かさを滲み出す木材の勉強机とベッドだけでピンク色やキラキラした物は置いていない。あったとしてもタンスの奥に眠っている。
しかし例外の物がある。
それは“ぬいぐるみ”だった
花凛はぬいぐるみが大好きで、親や兄達や友達から貰ったぬいぐるみを幼い頃から大切にしており、ぬいぐるみだけはシンプルな部屋に似合わなくても置いている。
初めて風太と雷太から貰った、ふわふわモフモフした白ウサギのぬいぐるみを特にお気に入りにしており毎晩抱きしめて寝ているぐらいだ。
「風にぃ、雷にぃ、入っていいよー」
学校指定ブレザーの制服を乱す事なく着こなし肩まで伸びている黒髪をサイドにシュシュで結び準備完了した花凛は風太と雷太を部屋に招き入れた。