struck symphony
開幕を待ちわびる、空気感。
すると、
突然に
響が、しくしくと泣き出した。
慌てて、恵倫子は、響の顔を覗く。
そして、
周りに配慮して 小声で語りかけた。
「ゆら?どうしたの?始まるよ?
ママと楽しもう?」
響の頭や背中を優しく撫でながら
恵倫子は、語りかける。
…けれど!
響の泣き声が、大きくなりそうだ!
恵倫子は、
素早くバックを持ち 響を抱きかかえ、
すぐ様、小ホールを出た。
とりあえず、ロビーの椅子に響を座らせて、
扉近くの座席だったことを安堵する。
黙ってしくしくと泣いている、響。
恵倫子は、優しく問いかける。
「なんで泣いてるの?」
響は、黙ったまま。
「泣いてちゃわからないよ?」
響は、さっきの恵倫子の様子を思い出しながら
更に、涙が零れる。
知らない男性の写真を見つめる恵倫子を見て、
ママを取られた気持ちになったのだ。
でも、
響は、それを明かさずに
ただ しくしくと泣いている。
もう開演してしまう…、と、逸る気持ちに
恵倫子は、響を諭す。
「ほら、せっかくのおまじない。
さぁ~どんなかなぁ、今から観れるんだよ。
泣いてちゃ観れないよ~、ゆら。ね?」
すると、
響が、大きく口を開けた。
「!!」
泣き叫ぶ!と、察した恵倫子は、
響と おでことおでこをくっつけて、
「アニマルマン」と、囁いた。
瞬時に、響の泣き顔が止まる。
安堵する、恵倫子。
「そっかぁ。響は、アニマルマンがいいのね」
目に涙をいっぱい溜めたまま
恵倫子の瞳を真っ直ぐに見つめて、少しの笑顔で頷く響を見ながら、
恵倫子も、微笑む。
張り切って揃えた、自分の装いと、響の装い。
ピンクのベルベットワンピースとワインレッドの靴という 響の可愛らしい装いを眺め、
この日の為に奮発したことを
そっと苦笑いしながら、
恵倫子は、響の頭をポンポンと撫でた。
見上げた時刻が、
開演時間を とっくに過ぎたことを知らせる。
「アニマルマンプレート、食べに行こっか」
「うんっ」
恵倫子は、響と手を繋ぎ、
ロビーからエントランスへと
静かに
コンサート会場を出ていった。
一滴の 綺麗な雫が、
ふたりの後ろ姿を慰めるかの如く
静寂に 葉から滑り落ちた…
ーー
車や人々の行き交う繁華街。
ネオン煌めく夜景のなかを
母娘、ふたりで手を繋いで歩く。
響は、滅多に味わえない夜道の快時間を
弾む心で母と過ごすことに、
にこにこニコニコしたり、
きゃっきゃキャッキャ言ったり…
初めて目の当たりにする、煌めく夜の景色に、
母の手を引っ張り、
見るものひとつひとつに 目を丸くしながら、
笑顔の大きなお口で感嘆した。
すると、
突然に
響が、しくしくと泣き出した。
慌てて、恵倫子は、響の顔を覗く。
そして、
周りに配慮して 小声で語りかけた。
「ゆら?どうしたの?始まるよ?
ママと楽しもう?」
響の頭や背中を優しく撫でながら
恵倫子は、語りかける。
…けれど!
響の泣き声が、大きくなりそうだ!
恵倫子は、
素早くバックを持ち 響を抱きかかえ、
すぐ様、小ホールを出た。
とりあえず、ロビーの椅子に響を座らせて、
扉近くの座席だったことを安堵する。
黙ってしくしくと泣いている、響。
恵倫子は、優しく問いかける。
「なんで泣いてるの?」
響は、黙ったまま。
「泣いてちゃわからないよ?」
響は、さっきの恵倫子の様子を思い出しながら
更に、涙が零れる。
知らない男性の写真を見つめる恵倫子を見て、
ママを取られた気持ちになったのだ。
でも、
響は、それを明かさずに
ただ しくしくと泣いている。
もう開演してしまう…、と、逸る気持ちに
恵倫子は、響を諭す。
「ほら、せっかくのおまじない。
さぁ~どんなかなぁ、今から観れるんだよ。
泣いてちゃ観れないよ~、ゆら。ね?」
すると、
響が、大きく口を開けた。
「!!」
泣き叫ぶ!と、察した恵倫子は、
響と おでことおでこをくっつけて、
「アニマルマン」と、囁いた。
瞬時に、響の泣き顔が止まる。
安堵する、恵倫子。
「そっかぁ。響は、アニマルマンがいいのね」
目に涙をいっぱい溜めたまま
恵倫子の瞳を真っ直ぐに見つめて、少しの笑顔で頷く響を見ながら、
恵倫子も、微笑む。
張り切って揃えた、自分の装いと、響の装い。
ピンクのベルベットワンピースとワインレッドの靴という 響の可愛らしい装いを眺め、
この日の為に奮発したことを
そっと苦笑いしながら、
恵倫子は、響の頭をポンポンと撫でた。
見上げた時刻が、
開演時間を とっくに過ぎたことを知らせる。
「アニマルマンプレート、食べに行こっか」
「うんっ」
恵倫子は、響と手を繋ぎ、
ロビーからエントランスへと
静かに
コンサート会場を出ていった。
一滴の 綺麗な雫が、
ふたりの後ろ姿を慰めるかの如く
静寂に 葉から滑り落ちた…
ーー
車や人々の行き交う繁華街。
ネオン煌めく夜景のなかを
母娘、ふたりで手を繋いで歩く。
響は、滅多に味わえない夜道の快時間を
弾む心で母と過ごすことに、
にこにこニコニコしたり、
きゃっきゃキャッキャ言ったり…
初めて目の当たりにする、煌めく夜の景色に、
母の手を引っ張り、
見るものひとつひとつに 目を丸くしながら、
笑顔の大きなお口で感嘆した。