struck symphony
すやすやと眠りについた、響。
恵倫子は、絵本を閉じると、
響が寒くないよう 掛け布団を整え、
愛娘の可愛い寝顔を ゆっくりと眺める。
そして、
起こさないよう 静かに 立ち上がり、
目の届くよう
いつものように 部屋の扉は開けたまま、
リビングへと寝室を出た。
その気配に気づき、来夏が、目を開け 起き上がる。
「あっ、起こした?」
「ううん、ちょっとうたた寝してただけ」
「お茶いれよっか」
「あっうん、ありがと。
あっそうそう。見せたいものがあるんよ」
「あぁ、言ってたねぇ」
恵倫子は、急須と湯のみを乗せたお盆を手に
ソファーに座る。
やけににこにこして見る来夏に
恵倫子は、お茶を注ぎながら、
「ん?」と 窺っていると、
来夏は、
鞄の中から一冊の雑誌を取り出し、
テーブルに置いた。
「見つけたの! これっ!」
「ん?機内誌?」
「うんっそう」
これが何だろう?と思いながら、
恵倫子は、注いだ湯のみを 来夏の手前に差し出す。
「ほらっ、載ってるよ!」
そう言って、来夏は、頁を開いて見せた。
「あぁ!♪」
「この前、仕事で台湾に行った時の 機内誌」
「載ってるんだぁ♪」
「ねぇ~♪」
いろんな方のCDの紹介の頁に、
陽音のCDも 写真付きで載っていた。
「ていうか、
来夏、カメラマンの仕事で 台湾に行ったの?」
「うん」
「凄いじゃない!」
「まぁ、たまたまかな」
「そんなことないよ~」
「ありがと」
「モデルの撮影?」
「うんそう。
撮ってほしいって言ってる人がいるの、って、
いつも撮影してるモデルさんからの ご紹介」
「こっちでの活動が、広まったんだねぇ。頑張ってね!」
「うん! で、もう一冊!」
来夏は、鞄から取り出して テーブルに置く。
「音楽雑誌?」
「そうっ。陽音さん、ツアーに行ってるの?」
「うん」
「凄いね!ワールドツアーでしょ?載ってるよっ」
来夏は、その頁を開いて見せる。
「わぁ~…」
恵倫子が、感嘆の声を漏らす。
そこには、
~ワールドツアーへ向けて~ と題して、
陽音の写真や記事が、数頁に渡って掲載されていた。
オーケストラの前でピアノに向かう姿や
共演者との演奏風景、話をしている陽音の笑顔…
陽音らしい はにかんだような爽やかな笑顔に
恵倫子は、懐かしい気持ちになりながら…
「こんなに載ってるんだぁ~…」
「凄いよねぇ。見つけたときさ~、興奮した!
すぐに、恵倫子に電話しようと。
でも、周りに人もいたし、言えないじゃない。
早く恵倫子に言いたくてさ~」
ふたりは、歓喜を漏らしながら
興奮冷めやらぬ時間が、流れた ーー
恵倫子は、絵本を閉じると、
響が寒くないよう 掛け布団を整え、
愛娘の可愛い寝顔を ゆっくりと眺める。
そして、
起こさないよう 静かに 立ち上がり、
目の届くよう
いつものように 部屋の扉は開けたまま、
リビングへと寝室を出た。
その気配に気づき、来夏が、目を開け 起き上がる。
「あっ、起こした?」
「ううん、ちょっとうたた寝してただけ」
「お茶いれよっか」
「あっうん、ありがと。
あっそうそう。見せたいものがあるんよ」
「あぁ、言ってたねぇ」
恵倫子は、急須と湯のみを乗せたお盆を手に
ソファーに座る。
やけににこにこして見る来夏に
恵倫子は、お茶を注ぎながら、
「ん?」と 窺っていると、
来夏は、
鞄の中から一冊の雑誌を取り出し、
テーブルに置いた。
「見つけたの! これっ!」
「ん?機内誌?」
「うんっそう」
これが何だろう?と思いながら、
恵倫子は、注いだ湯のみを 来夏の手前に差し出す。
「ほらっ、載ってるよ!」
そう言って、来夏は、頁を開いて見せた。
「あぁ!♪」
「この前、仕事で台湾に行った時の 機内誌」
「載ってるんだぁ♪」
「ねぇ~♪」
いろんな方のCDの紹介の頁に、
陽音のCDも 写真付きで載っていた。
「ていうか、
来夏、カメラマンの仕事で 台湾に行ったの?」
「うん」
「凄いじゃない!」
「まぁ、たまたまかな」
「そんなことないよ~」
「ありがと」
「モデルの撮影?」
「うんそう。
撮ってほしいって言ってる人がいるの、って、
いつも撮影してるモデルさんからの ご紹介」
「こっちでの活動が、広まったんだねぇ。頑張ってね!」
「うん! で、もう一冊!」
来夏は、鞄から取り出して テーブルに置く。
「音楽雑誌?」
「そうっ。陽音さん、ツアーに行ってるの?」
「うん」
「凄いね!ワールドツアーでしょ?載ってるよっ」
来夏は、その頁を開いて見せる。
「わぁ~…」
恵倫子が、感嘆の声を漏らす。
そこには、
~ワールドツアーへ向けて~ と題して、
陽音の写真や記事が、数頁に渡って掲載されていた。
オーケストラの前でピアノに向かう姿や
共演者との演奏風景、話をしている陽音の笑顔…
陽音らしい はにかんだような爽やかな笑顔に
恵倫子は、懐かしい気持ちになりながら…
「こんなに載ってるんだぁ~…」
「凄いよねぇ。見つけたときさ~、興奮した!
すぐに、恵倫子に電話しようと。
でも、周りに人もいたし、言えないじゃない。
早く恵倫子に言いたくてさ~」
ふたりは、歓喜を漏らしながら
興奮冷めやらぬ時間が、流れた ーー