struck symphony
突然に、

陽音が、
恵倫子の唇を 奪う。



そして、



靴を脱ぎ捨て、

恵倫子を抱き上げ 部屋に入ると、

強引に 恵倫子をソファーに押し倒した。




陽音は、強く恵倫子を求めるように 唇を重ね…




恵倫子の服は、乱れてゆく…




陽音らしくない 一方的な強引さに 恵倫子は酷く驚き‥





“っ…やめ…て…”





陽音の力強さに、恵倫子は、声が出せない…




陽音の唇が、 恵倫子の首筋を強くなぞる…





“ちょっと…待って…

やだ……陽音さんっ………こんなのっ…”





「陽音さんっやめて‥」




やっと言えた恵倫子の言葉に、

陽音の動きが、止まった。





沈黙が、流れる。





陽音は、
恵倫子の首元に 顔を埋めたまま。




この沈黙を どうしたらよいのか と、

恵倫子は、陽音に そっと声をかける。


「陽音…さん?」



陽音は、顔を埋めたまま、びくともしない。



“あれ? なんだか………熱い”



恵倫子は、陽音の身体の異変を感じた。



身体をずらして、陽音の額に 手を当てる。



「すごい熱!」


恵倫子は 酷く驚いて、起き上がり、
陽音を ソファーに寝かせた。


そして、
体温計と保冷剤を包んだタオル、氷水を張った洗面器を
陽音の傍らに用意した。


体温を計りながら、陽音の額や首元に 手を宛がう。

程無く体温計が鳴り、
表示を見ると、38,1℃


“こんなに…
…、熱があるのに…無理して来てくれたの?…”




さっきの陽音は初めてで、凄く驚いたけれど、

今、
目を閉じ… 息苦しそうに
ただ横たわっている陽音を見て、
恵倫子は、驚愕ながらに 涙が出た。




そして、


服を脱がせ、
身体を拭いて汗を拭い、

首の後ろ、脇、足の付け根に 保冷剤を包んだタオルを宛がい、



恵倫子は、
一晩中、陽音に付き添った… ーー



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