struck symphony
時がきた… ーー






瞬時に ライトアップが消え、

会場内が 薄暗くなり…



固唾を呑み 静まり返る、観客たち。




すると、


“あ… ”




まだ 幕が閉じたままステージから、

陽音の ピアノの音が 聴こえてきた…




高音の澄んだ音色が 響き渡る…




“ …a waxing crescent moon… ”

恵倫子は、心の中で 呟く。

知ってる、愛しい曲に 耳を寄せる…



高音の 単音打響から 連打へ… そして…

連打に加わる 隔鍵の低音…


陽音のピアノは、だんだんと激しくなり…




一斉のライトアップとともに、幕が開いた。





歓声が、上がる…





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