struck symphony
それは、

陽音と 初めて出逢った あの日の光景…





ずぶ濡れになった自分の目の前に

突然に現れた、ピアニスト 香大陽音





初対面ながら…

見つめ合い 翳された傘に

激しく打ち付ける…雨音








陽音の激しくも繊細なピアノの旋律と

恵倫子に連想された光景が 重なり…








ー 恵倫子を想って 書いた曲だから ー








“あっ… ”





恵倫子は… はっきりと わかった…








“ この曲だ… ”







恵倫子は、実感した想いを 噛み締める…







他の曲では感じなかった、

その不思議さを味わいながら、


パンフレットの曲目へと 視線を移す。







“ struck symphony ”

~心打たれた 雄大な 運命的な奏で逢い~






“わぁ…..”


驚嘆の吐息とともに

恵倫子の瞳から 大粒の涙が 流れた…








“ 素敵なタイトル…

…こんな素敵な… 曲を…”









恵倫子は、瞳を閉じ、








特別な曲に 心を寄せた… ーーー


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