struck symphony
それから数日後…




改めて、
陽音のワールドツアーの成功を祝した、
打ち上げパーティーが、開催された。


勢揃いした、
ビオラ奏者、グロッケンシュピール奏者、
ハープ奏者、コンドラバス奏者、
コンガ&ウインドチャイム奏者、
そして、
スタッフたちの顔を見ながら歓喜する、

陽音の乾杯から、始まった。




立食形式のパーティーに、
皆それぞれに
好きなものを食べ、好きなものを飲み、

動き回りながら それぞれがそれぞれに
色んな人と会話を楽しみながら
時間(とき)は、流れゆく…




ミアは、カクテルグラスを両手に
陽音へと歩み酔った。


「お疲れ様!」

そう言って、一方のグラスを 陽音に差し出す。


「あぁ、ありがとう。お疲れ様」


陽音は 受け取ると、ミアと乾杯をして、
ふたりは、ひと口 嗜んだ。


「連れてくれば良かったのに」

「ん? あぁ、恵倫子?」

「そう。呼ばなかったの?」

「それが…」

「ん? 何かあった?
公表したんだし、順調なんでしょ?」


「あぁ…。」

「え、…他に何かあるの?」


「うん。
…、
ここ最近、毎日のように付けられてるんだ」


「えっ、そうだったの?!
大丈夫なの? あなたも、えりこさんも」


「まぁ…。
付けられてるのは、車に俺だけのときで…
…ていうか、
俺が帰るときに 後ろに付かれるから、
恵倫子の家にも行けなくて、ずっと会ってないんだ」


「そうだったんだぁ…」

「あぁ…。
ミアにも 皆にも 紹介したいと思って、
今日、呼びたかったんだが…」

「帰りに
また付けられたら嫌だもんね、心配だし」

「あぁ…。
公表したのに、きちんと紹介しなくて、悪い…」


「そんなことないよ。
陽音のことだから って、皆思ってるだろうし
誰もそんな思ってないよ。
寧ろ、
良かったねって、皆、祝福の嵐じゃないっ」


「あぁ。…ありがとう」


「あっそうだ!
今日、陽音の口から 皆に伝えたらいいじゃん。
それで、今度 改めて紹介したい って」

「あぁ、なるほどな」


陽音とミアは、微笑ましく笑い合った。


ーー


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