恋は手紙と。
 さっきよりも弱くなったような声色に、私は顔をあげる。


 沢村くんは、ふてくされたような、むすっとした表情をしていた。



 「そ、そうだけど。何か?」



 相変わらず眉をしかめて見下ろしてくる沢村くんを見上げ、見返す。



 「と、とりあえず、その手紙は返してください……」



 沢村くんの手に握られた紙を取り返そうとすると、ひょい、と避けられた。
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