恋は手紙と。
 「さっ、沢村く……」



 眉を寄せたままの沢村くんは、そのまま、すたすたとこっちに歩いてきた。



 「宮野。どうかしたのか……? 顔、歪んでる」



 「なっ、な……何でもないよ」



 どうしてか、私を見つめる沢村くんから、目を離せなかった。


 まるで心のなかを覗かれるように、じっと見つめられる。


 脳裏に、さっき空き教室で見たばかりの光景が浮かんだ。


 はっとして目をぎゅっと瞑ると、下を向く。
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