恋は手紙と。
 「宮野……」



 頭の上で、沢村くんが私を呼ぶ。


 それに被せるように、教室にチャイムが鳴り響いた。


 私はかき消すように頭を横に振って席につく。


 授業が終わるまで、梶木くんは教室へ戻って来なかった。



  *



 「梶木、くん……」



 結局梶木くんが教室に戻ってきたのは、授業も全て終わり、ホームルームの前の準備を始めた頃だった。
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