私の日常が崩れる日
「彼女と面談したことあるけれど、至って普通だったよの。普通すぎて逆に怖いくらいよ」

「そんなにですか?」

「他の子はある程度、慣れてくるとタメ口を使ってくるのに、彼女だけ未だに敬語なのよ。それに礼儀もきちんと出来ている。あれじゃ、年齢詐称をしてもバレないくらいよ」

確かに、彼女は職員室前で別れるときに丁寧にお辞儀をしていた。

「友人関係は?」

「入学したときは3人で行動してたみたいだけど、今はいないみたいよ。多分、入学して6ヶ月が経ったときに何かがあったのよ」

「え?」

彼女に一体、何があった?

その"何か"があっただけで目があのようになるのだろうか…

「彼女は相談してくれないからこっちとしても無闇に聞くことが出来ないのよ。入学当初はとてもよく笑う子だったけど、今じゃその面影すらないわ」

先生は残念そうに眉尻を下げる。

先生ですら分からない"何か"が彼女をあそこまで変えてしまった。

彼女はまるで……そう、例えるなら…

「アンドロイド…みたいだ」

「ふふっ、研修医時代を思い出した?」

「えっ?」

研修医時代?何が?

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