私の日常が崩れる日
玄関の外で5分ほど待っていると彼女が出てきた。

イヤホンで音楽を聞きながら帰るみたいだ。

和田先生の言うとおり、下を向きながらも早歩きで駅の方面へと向かっている。

すると彼女がいきなり立ち止まってイヤホンを外した。

「まさか、ストーキングする趣味があるとは思いませんでした」

あぁ、気付かれたんだ。

「生憎、趣味ではないんだ。何時から気付いていたんだい?」

「学校を出て直ぐに気付きました。用件はなんですか?」

「ちょっと、お茶をしながらでも話さないか?」

タイミングがいいことに近くにカフェがある。

「持ち合わせがありません」

「奢るよ」

「嫌です」

考える時間もなく即答された。

何故、嫌がるのか?

「人に奢って貰うのは嫌なんです」

「ははっ…まるで僕の心を読まれたような気分だ」

悔しい…心を読まれるような気分を味わったのは和田先生以来だ。

「直感と推測から簡単に分かることです」

彼女はまた、顔色を変えずに答えた。

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