私の日常が崩れる日

美夜side

今日、最後の授業が終わって駅に向かおうとしていると、ふと視線を感じた。

中川先生か…

なんで、そんなに私に興味を示しているのかが分からなかった。

とりあえず"勘違い"という線も有り得るため気付かないフリをして駅に向かっていったが明らかに私を追いかけていると分かった。

「まさか、ストーキングする趣味があるとは思いませんでした」

私は振り返って先生に声をかけた。

「生憎、趣味ではないんだ。何時から気付いていたんだい?」

先生は驚いていたようだが少しだけ安心したような表情をしていた。

「学校を出て直ぐに気付きました。用件はなんですか?」

「ちょっと、お茶をしながらでも話さないか?」

「持ち合わせがありません」

「奢るよ」

母がよく言っていた。

『無料とか奢ってもらうより高いものはない』と

「嫌です」

私は母の言い付けを守るために断った。

きっと、先生は不思議に思っているに違いない。

その証拠に目は見開かれたまま、表情を変えない。

「人に奢って貰うのは嫌なんです」

「ははっ…まるで僕の心を読まれたような気分だ」

「直感と推測から簡単に分かることです」

それに、先生の表情は意外と分かりやすい。

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