私の日常が崩れる日
『目は心の鏡っていう言葉は知ってる?』

『はい』

『貴女の目は私や中川先生から見るととても真っ黒とも言えるし濁ってるのよ』

濁ってる?

『この間、眼科に行ったときはそんなことは言われませんでした』

もう一回、行くべきなのかな…

『あ、いや、物理的に濁ってるってわけではなくて…うーん、なんて説明をしようかしら』

先生も困っているみたいだし推測してみよう。

『"目が輝いていない"とか"全てを諦めたような目をしている"ってことですか?』

『そう!そういうことよ!』

先生はぱぁっと表情を和らげた。

『貴女の目は夢に満ちていないの。同世代の子たちと比べてみても格段に輝いていないわ』

『私はクラスメイトのようにはなれないです』

あんな……楽しいことが思い出せない。

『一体、何があったの?』

『それはどういう意味ですか?』

先生は恐らく、入学して6か月のことを聞きたいんだろう。

けれど、先生に言ったところで何も解決しない。

だから、私はあえて惚けた。

『貴女が入学して6か月で何があったの?』

惚けてみたのに敢えて、聞いてくるとは…

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