fantasista 2
「悪い。彼女がいるから」
そう言って扉を閉めようとした戸崎に、
「柊。あたしのこと、忘れたはずないよね?」
女性は詰め寄る。
そして、その魔女みたいなネイルの付いた指で、戸崎の胸に触れる。
あたしの胸が痛む。
まるで、抉られたように。
やっぱり、この人って……
「マイだっけ?ユイだっけ?」
ユイはあんたの母親だろと突っ込みたくなる。
そんな戸崎に、
「マキだよ」
彼女はすがりつくように言う。
上目遣いで戸崎に寄り添って。