fantasista 2




戸崎の不機嫌の理由が分かった。

剛君にあたしを会わせたくなかったのだ。

だけど、あたしは大丈夫。

戸崎に対する思いは揺らぎないものだから。

そして、嫉妬してくれた戸崎がなんだか可愛くて愛しい。

……戸崎のくせに。







「ねぇ、こっち向いて」




あたしの言葉に、うるせぇよと言う戸崎。




「ねぇ、そこのイケメンファンタジスタ!」




わざとらしく言うあたしに、うるせぇなと戸崎は言う。

無理矢理前に回り顔を覗き込む。

すると、真っ赤な顔で口をきゅっと閉じた戸崎がいて。

あぁ、この人こんな顔するんだと思った。

すごくすごく愛しい、あたしの大切な人。



< 17 / 390 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop