fantasista 2
「あー、もう!
お前マジでムカつく」
真っ赤な顔のまま、あたしを抱きしめる戸崎。
その大きな胸に抱かれて幸せだと思った。
すごくすごく。
そして、もっと触れたいと思ってしまう。
「山形は俺のだからな」
その言葉が何よりも嬉しい。
そして、その言葉に安心する。
ペチャパイでもオトコオンナでもいい。
戸崎があたしを好きでいてくれたら。
唇が近付き、甘いキスを交わす。
戸崎と再会し、何度も交わした甘い甘いキス。
それでも、いつまで経っても慣れない。
胸がきゅんきゅんうるさい音を立てて、頭を真っ白にさせる。
それに加えて……
戸崎に抱かれたい。
最近はそう思ってしまうんだ。
それなのに、
「今日は遅いだろ。
タクシー乗って帰れよ」
その言葉にいちいち胸を痛めた。
大迫さんの言う通り、あたしは本当に戸崎を傷つけたのかもしれない。
冗談でも、無神経なことを言ってしまったんだ。