fantasista 2
そして、待ちに待った週末……
昼過ぎからの試合のため、朝早く戸崎は家を出た。
「戸崎、VIP席ありがとね」
VIP席がどんなものかも知らず、軽くお礼を言うあたしに、戸崎はおうと笑顔で答えた。
そんな戸崎、やっぱり「誕生日おめでとう」なんて言ってくれなくて。
VIP席も誕生日プレゼントなんかではないのかもしれない。
そう思うと少し寂しかった。
だけど、誕生日を教えていないのはあたしだ。
こんなに落ち込むなら、戸崎にあらかじめ言っておくべきだったと反省する。
そして……
招待状に書いてある集合時間がやたら早いため、すぐにあたしも家を出た。