fantasista 2







ホイッスルが鳴り、選手が走る。

真っ青に染められたスタジアムに、アスールの応援歌が鳴り響く。

そんな中、あたしの瞳は戸崎に釘付けになる。




いつもよりもはっきり見える、その表情。

楽しそうにボールを追いかけるその顔。

きっとしんどいのに、へとへとなのに、ピッチに立ち続ける戸崎は輝いている。





後方からのパスを受け取り、ドリブルで敵を抜き、鋭いシュートを放つ。

キーパーに弾かれても、再びヘディングで打ち込む。

そのボールはふわりと宙を舞い、まるで吸い込まれるかのようにネットを揺らした。




スタジアムに歓声が響き、戸崎コールが起こる。

あたしの胸が高揚する。

天に向かって指を突き上げた戸崎と……

視線が合ったような錯覚に陥る。

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