fantasista 2
やっぱりそうなんだ。
戸崎は知っていたんだ。
戸崎はあたしの誕生日に、最高の試合と最高の眺めをプレゼントしてくれた。
すごく贅沢だ。
頰を緩ませるあたしに、戸崎は言う。
「お前のおかげで、今日も頑張れた。
俺のために資格取ってメシ作ってくれて」
「……え?」
知ってたんだ。
戸崎、気付いていたんだ。
「試合もいつも観てくれてるし、俺の身体を心配してくれる」
夕陽が戸崎を真っ赤に染めていた。
その青色のユニフォームでさえ赤く映る。
まるで、戸崎に酔うあたしの頰のようだ。
そんな赤い世界で、戸崎は続ける。
「俺、やっぱりお前がいないと駄目だ」