fantasista 2
彼は小さな箱を取り出す。
その箱に入っているダイヤモンドの指輪は、夕陽を受けてきらきらと赤く輝いた。
その指輪を受け取り……
あたしはその場に崩れ落ちて泣いていた。
サポーターやチームメイトの視線なんて気にせずに。
恐ろしいほど幸せだ。
こんなに幸せでいいのだろうか。
「なっ……何言ってるの!
あたし、オトコオンナだよ?」
振り絞った声は震えていた。
「あたしなんかより、美人で巨乳の人はいっぱいいるよ?」
戸崎はあたしを見てふっと笑った。
あたしの大好きな優しい笑みだった。
この戸崎の笑顔をずっと見ていたい。
これから先も、ずっと。