fantasista 2
「愛してる」
吐息交じりに吐き出された、消えてしまいそうな声が胸に沁みる。
「みどりがいるから、俺はすげぇ幸せだ」
あたしだってすごく幸せ。
この幸せが怖いくらいに。
左手に輝く指輪にそっと触れる。
まるで戸崎の笑顔みたいに優しくて、温かい光で輝くダイヤモンド。
あまりにも綺麗で、再び涙が頰を伝った。
あたしには、帰る場所がある。
これからもずっと、この大きくて頑強で優しくて甘い腕の中に飛び込むんだ。
ー完ー