fantasista 2
思い返せば、好きだ好きだと言ってくれるのはだいたい戸崎だ。
その態度に言葉に狂わされるけど……
あたしは愛情表現が苦手のようだ。
こんなに好きで好きで仕方がないのに。
「なぁ、みどり」
急に名前を呼ばれてビクッと飛び上がる。
真っ赤なあたしの髪を、戸崎はそっと撫でる。
その大きい手の隙間から、さらさらと流れ落ちた。
「本当はあんなことしたくなかったけど……
お前が好きで我慢出来なくて……」
「ううん」
あたしは戸崎の胸に頰を付け、目を細めた。
こうやって触れているだけで、すごく幸せだと思う。