fantasista 2
「良かったな」
白いアウディのハンドルを握り、柊は嬉しそうに言う。
目の前の信号が青になり、
「お前も幸せじゃん」
アクセルを踏む。
そして、ギアを一速から二速へと変えた。
そんな柊に、思わず聞いていた。
「あんたなんでアウディのMT車なの?
それ、女ウケ狙ってるわけ?」
「あーうぜぇのが出た」
柊は心底嫌そうにボヤく。
「樹のMTがかっこよかったからだ。
この車に女を乗せたことはねぇ」
それを聞いてにやけてしまう。
あたしは愛されているんだと思ってしまう。
だけど、素直に嬉しいなんて言ってやらないんだから!