fantasista 2
オフィスを出ると、珍しく柊が迎えに来ていた。
Tシャツにハーフパンツ姿の柊は、ポケットに手を突っ込んで、ビルにもたれかかっている。
いつも通りの柊に
「どうしたの?」
聞くと、
「結婚指輪探しに行かねぇとな」
突然のその言葉に驚いた。
「けっ……結婚指輪!?」
大声を出すあたしに、
「嫌なのかよ」
柊は言う。
嫌じゃないことくらい分かっているくせに。
頰を染めたあたしの手を握る柊に、案の定痺れた。